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いつか見た青い空

いつか見た青い空

対決 七人刀 対 下三段の白狐

沖津直樹  
28歳、サラリーマン。趣味は少林寺拳法,ドライブ、強い霊能力を発揮できる。沖津家は隔世遺伝で強い霊能力を持った男子が生まれる。

岡村美帆  
24歳、家事手伝い、沖津直樹の恋人。趣味は料理、物凄いやきもち焼き。直樹の能力を誰よりも理解している。

岡村紀子  55歳。美帆の叔母。岡村家の本家を守っている。霊感が強い。

司 洋子  24歳、岡村紀子の娘であり,美帆のいとこ。霊感はない。

司 光   5歳の女の子、直樹に匹敵する霊能力を持つ。
(ひかる)

岡村 涼  28歳。美帆の兄。

沖津幸吉  75歳、直樹の祖父。直樹の数倍の霊能力の持ち主。


それでは、お楽しみください。



直樹の部屋で起きた超神霊現象に遭遇した3人は、直樹の車に乗り込み

美帆のおばあさんの家に向かった。

直樹の家から車で飛ばしても30分は掛かってしまう。

おばあさんの家で発生している心霊現象は、新興宗教の開祖と名乗る飯橋天山

が放った使役霊が、岡村本家に遊びに来ていた小さな能力者、司 光を体ごと、

連れ去ろうとしていた。

岡村本家を守護しているおばあさんの霊を瞬時に切り刻んだ程の使役霊、

下三段の白狐の妖力は能力のない者にもはっきり見えていた。

直径1,5メートル真っ黒い歪んだ空間の中から白い狐が大きく口を開けて

司 光を吸いこもうとしている。

その口からは例え様のない強烈な臭いが吐き出されていた。

「お母さん、もっと、しっかり、引っ張って。このままじゃ、吸いこまれちゃう!」

「きっと、直樹さんが助けてくれるから。耐えるのよ。洋子。」

二人の声が聞こえている光は、泣きながら母親の洋子に掴まっている。

洋子と光を引っ張っていた洋子の母親、紀子の握力も限界に達していた。

「洋子、私が犠牲になるから、その隙に逃げなさい。」

そう叫ぶと、後ろに放り投げる様に二人を放り投げた。転んだ紀子は立ちあがって

下三段の白狐に向かっていった。

「私の命をくれてやるから、何処かに行ってしまいなさい」

そんな紀子を後ろから洋子が右手で掴んだ。

だが、洋子も握力がほとんど無くなっていた為に、左手で抱きしめていた光を放してしまった。

真っ黒い歪んだ空間から大きな人の手が伸びて光を掴んだ。

「やっ、やめて、神様、お願い、光を助けて!」

その時である。居間の神棚から金色の光が飛び出してきた。そして、光の上で止まると、

太陽のように輝いた。そして、そのまま、光の体が消えてしまった。

その輝きを浴びた下三段の白狐は大きな鳴き声をあげて苦しみはじめた。

「お母さん、光が・・・光がいないの」

「なんですって。あの金色の輝きが何処かに連れ去ったとでも言うの!」

そんな二人に再び真っ黒い歪んだ空間から手が伸びてきた。

「洋子、逃げなさい。」

洋子を突き飛ばした紀子を大きな手が掴んだ瞬間、白い閃光が大きな手を切り落とした。

「お母さん、あっ、あれを見て。」

そこに半年前、岡村本家を襲った女祈祷師の霊、七人刀が現れた。沖津直樹と戦い、霊界に

導かれたはずの七人刀がそこに立ちはだかっていた。

しかし、その姿は、直樹と戦ったあの時とは明らかに変わっていた。

腐って落ちていたはずの顔は、とても美しく、黒髪は輝いていた。

身に着けている服は間違いなく神社の巫女が着ているような服である。

そして、明らかに輝いていた。

「闇の使い魔よ、今、沖津家守護神、金山彦ノ命様の命令により、罰を与える為に霊界より参った。この場に留まる事を許さず。霊は霊界に、精霊は精霊界に、おのおの、己の居るべき所に戻るべし。」

紀子と洋子は目の前で起きている現象に腰が抜けてしまった。

真っ黒な歪んだ空間から無数の大きな手が伸びてきた。

「守護神より授かった破邪の剣。この切れ味の前にひれ伏すがいい。」

七人刀がそう叫びながら右手の輝いている刀を一振りした。すると、その刀から

小さな光が大きな手に向かって飛んでいった。

その光が当たった大きな手は全て消滅した。

すると、下三段の白狐は大きな口を開けて、瘴気を吐き出した。

「天空を守護する星と言う名の精霊達よ、わが身を守れ、天空防御!」

七人刀がそう叫ぶと、1メートル程の星の印が七人刀の前に現れて輝きはじめた。

瘴気が全て弾き返された。

「闇の使い魔よ。今、その主の元へと帰れ。天空乱舞、星の印」

七人刀の右手の指人差し指を額に付けてそう叫ぶと、小さな星が現れて、下三段の

白狐に向かって飛んでいった。

その星は、見事、額に当たった。そして額の星の印が輝きはじめると、もがき苦しみ始めた。

真っ黒な歪んだ空間の中に下三段の白狐は消えていった。すると、真っ黒な歪んだ空間も

消えていった。

七人刀は静かに振り向いて紀子と洋子に微笑んで頭を下げた。

「幼き子は、大神の力で、我が、愛しの人の元に飛ばされました。」

そう伝えると上に上がる様に消えていった。

「洋子、きっと、直樹さんの所に金山様が飛ばしたのよ」

「飛ばしたって、どういう事よ。意味がわからない」

「落ち着きなさい。直樹さんに連絡を取ればわかるじゃない。私が連絡するから番号を教えなさい」

紀子は着信履歴で美帆の携帯にかけた。


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